補修に対してはなんの支援対策も講じられない一方で、損傷を受けた建物に対して「公費解体制度」が設けられ、一定の期間内に解体する場合には公費による支援を受けられることになった。そこで、一部のマンションでは補修に対する検討を十分にしないうちに、建物の解体をまず検討するという事態が生じたのである。さらには、被災の中心地であった兵庫県は、震災直後に「復興支援グループ」を組織し、被災マンションへの支援をおこなった。
つくばエクスプレス(三郷中央)の新築一戸建て
東急東横線(元住吉)の新築一戸建て
東武東上線(みずほ台)の新築一戸建て
東武野田線(川間)の新築一戸建て
JR外房線(土気)の新築一戸建て
ところが、この支援グループに参加した専門家の多くは再開発コーディネーターであり、補修で十分に再生できる建物でも建替えしたほうが有利であるとの助言がなされた。一部では、「直しても傷もののマンションは資産価値がなくなる」とか、「建替えのための費用出費があっても、建替え後に転売すれば十分に利益が得られる」などの発言が公然とおこなわれた。被災直後からしばらくの間は、建設会社によって火事場泥棒的に高額な補修費用が提示されており、高額な修繕をするくらいなら建替えたほうがよい、という雰囲気をあおった一面もある。こうして、本来、補修で十分に従前以上に丈夫で安全な建物にすることができるマンションの多くが解体され、建替えられていったのである。これらの過程には、筆舌しがたいさまざまな事態が発生している。