もともと人は個で生まれ、そして個で死んでいく存在です。当然、そこには人生それぞれの時期に家が必要になってくるわけです。しかし、家はたんに雨露をしのぐだけのものではなく、そこには自分自身が社会から逃れ、安心して本当の「個」になりきれる場所という要求が生まれてきます。たとえ、家族のための家であっても、個々の人に家について最も望む要素を聞いていくと、自分の「ねぐら」であるということが歴然としてきます。たとえば、いざ寝室の本音の打ち合わせを始めると、真っ向から反対の希望や夫婦間の忍耐や苦労の話題までも飛び出し、ついには離婚話にまで至ることもあるのです。
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いくら時間があっても足りないことからも分かります。なるほど、「家」はもともと「寝戸」と書き、「いへ」がつまりは「いえ」と読まれたといわれるほどで、自分の寝る場所、「ねぐら」が、家の原点になるのです。そこでは、自分の好きな空間や色彩があり、すべての動物がそうであるように、いわゆるフェロモンというのか、自分の好きな匂いに囲まれて眠りたいという「個」の欲求が常にあるのです。夫婦の寝室では男と女が心を許し合って寝るわけですから、夫と妻それぞれの絶対に安心できる好みの空間が必要となるのです。