不幸にして寝たきり老人になるとその生活圏はひとつの室内、さらにはベッドの上だけとなるのであるが、程度の差はあれ、多くの人は身体的老化に伴いその生活圏を縮小する。また都営住宅における対象となったある郊外団地の老人たちは、若い主婦たちと比較して、団地周辺の店で買い物をすませることが多かった。歩いてでかける、というのは足だけの問題ではなく、視聴覚や知能の働きを要する実に総合的な行為なのであるが、特に多くの老人にとって問題があるのは階段のようである。
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特に歩道橋は生活圏を狭めがちである。このように、その身体的特性のために生活圏が狭くなる老人にとって、住居とその周辺の環境はとりわけ重要である。ところが日本における住居の質の低さと居住環境の悪化は、その老人たちにより強くふりかかる現状にあり、生産性優先、能率優先の町づくりは多くの障害を生んで老人の生活圏をより狭くしているのである。きめ細かに生活圏をみれば、横断歩道の青信号の時間や、各種の表示のわかりやすさから棚の高さまで、老人の身体的特性(脚力、筋力、平衡機能、代謝機能、視覚、聴覚、嗅覚などの低下や身体寸法の縮小)を配慮すべき点は数多いのであるが、ここでは省略する。